東京高等裁判所 昭和27年(う)1124号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(爭點)
原判決が事実認定の証拠として掲げているうちに被害者の窃盜被害届の謄本がある。控訴趣意はこの点を捕えて右被害届については、最初から原本を公判廷に展示せず、謄本のみによつて証拠調が行われたものであるから、かかる書証には証拠能力がなくこれを採用した原判決は違法であると争つている。なお原審では、被告人・弁護人とも右謄本を証拠とすることに同意しその証拠調に異議がなかつた。
(判旨)
しかし原本が滅失その他の事由により、使用できないか、若しくは使用することが困難な場合においては原本に供述者の署名押印があつて証拠能力があり、且つその謄本が原本と相違ないものであることを確認し得る限り、謄本自体について証拠調の請求並びに証拠調をしてこれに原本に準ずる証拠能力を認めることができるものと解するのが相当であるから、当事者に異議がない限り、刑訴第三二一条第三二二条は常に必ずしも供述者の署名又は押印のある原本によらなければならぬものとは解せられない。
(説明)
この点について、署名拇印のある原本のみに限る嚴重な見解もあるけれども、判示するような制限の下に謄本或は抄本の証拠能力を認めるのが目下の多数説であり高裁判例の傾向であるようである。